関節リウマチ
次のような症状は、関節リウマチの初期症状の可能性があります
- 朝方に手足指関節がこわばる
- 関節のあちらこちらが痛む
- 手足のしびれや痛みがある
- ペットボトルのふたが開けられない
- ドアノブが回せない
- 重いものが持てない
- 足裏が腫れぼったい感じがする
関節リウマチは全身性の炎症性疾患です
関節リウマチは、本来なら病原菌やウイルスなどの外敵を攻撃するはずの免疫という機能に異常が起こって自分の身体を異物と認識し、それを排除しようとする、つまり自分の免疫システムが自分自身の体を攻撃(自己免疫反応)し、主に手足を中心に体のあちらこちらの関節が腫れたり痛んだりする病気です。
炎症は関節に留まらず、目や肺など全身の臓器に拡がることがあり、微熱や倦怠感、食欲不振などの症状が現れることもあります。治療しないまま進行してしまうと、関節が変形してしまい、日常生活に支障を来すことがあります。
リウマチにかかる人の割合
現在30歳以上の人口の1%にあたる人がこの関節リウマチにかかると言われています。女性の患者様が男性の患者様の3~4倍と多く、発病するのは主に30~50代で、さらに80%強が女性です。結婚や妊娠・出産・子育て、更年期、親の介護など、女性のライフスタイルが目まぐるしく変化する時期に起こりやすく、生活に直結した病気です。しかし、最近では60歳以上の高齢発症の患者様も増えており、高齢発症の方々は男性も多く含まれています。
関節リウマチの検査・診断
まず関節の痛み、腫れ、曲がる角度などを詳細に診察し、血液検査やレントゲンに加えて、当院では関節超音波を使って検査・診断致します。関節超音波は体にほとんど負担を与えず、痛みもなく速やかに検査をすることができ、レントゲンでは検出できない極早期の関節リウマチの診断が可能になっております。
関節リウマチの進行度
関節リウマチは症状によって、関節破壊・機能障害の進行度が分かれます。進行度が高くなると症状も重くなり、生活に支障を来す可能性が高くなります。早期診断、早期治療がとても大切です。
関節リウマチの治療法
リウマチ治療は最近進歩しており、免疫抑制作用によって関節リウマチを治療するメトトレキサートや、関節破壊の抑制作用が優れる生物学的製剤など画期的な治療薬の登場により、炎症や痛みを抑えるだけでなく、病気の進行を抑えて関節が破壊されるのを防ぎ、患者様のQOL(生活の質)を高める治療が行えるようになってきました。
関節リウマチ治療は、リウマチを発症する前の生活に戻るために、痛みや腫れのない状態(寛解)を実現するのが最初の目標です。どうしても寛解に至らないような場合でも、ある程度炎症がコントロールできる状態に近づけるようにします。通常3か月以内に関節炎が十分コントロールできない場合は、薬を変更したり、追加したりすることによって寛解、あるいはそれに近い状態を目指します。治療によっていったん寛解に入った後も、今度は寛解を維持することが大切です。
特にリウマチは発症後2年が治療の大事な機会といわれております。手や足が痛くなってきたら、放置せずにお気軽にご相談下さい。
関節リウマチの医療・保険制度
関節の痛み、腫れ、曲がる角度などの所見をまめに診察します。関節機能障害が進行すると、身体障害(肢体不自由)に分類されます。1級から14級に分類され、1、2級(地域によっては3級も可)の障害者に対しては、医療費減免(全額~一部負担)される制度があります。身体障害者手帳を所有していると、さまざまな補助が受けることができます。関節リウマチの治療は長期になるため、費用が高額になることも少なくありません。各種医療・福祉制度を利用して、ご自身の負担を減らすことも大切です。
膠原病内科
膠原病とは
膠原病とは臓器そのものに異常を生じる病気ではなく、細胞と細胞の間の結合組織(膠原線維などから成る部分)に炎症・変性が生じ、さらに全身のいろいろな臓器や組織に炎症が起きる病気です。一つの病気を指すのではなく、症状に共通点を持つ病気の総称です。様々な病気があり、症状も多彩です。
すべての年代で発症する可能性がありますが、特に女性に多い病気として知られています。遺伝病ではないが、体質素因は家族内で引き継がれる可能性があるため要注意です。関節リウマチも実は膠原病の一種なのですが、患者様が多いので関節リウマチと分けて呼称する施設が多いようです。
膠原病の原因
膠原病の原因は解明されておりませんが、多くの研究から自己免疫反応* (関節リウマチの項を参照)と考えられています。また、紫外線・寒冷刺激・妊娠・外傷・手術・薬剤なども膠原病発症や悪化の誘因になると言われています。
膠原病のいろいろ
下記の他にも多くの疾患が含まれております。
- 全身性エリテマトーデス
- 強皮症
- 多発性筋炎
- 皮膚筋炎
- ベーチェット病
- シェーグレン症候群
膠原病の症状
膠原病の症状は実に多彩で、下記記の症状が見られます。疾患によって障害される臓器が違うので症状もそれぞれ異なります。
また同じ病名でも症状が同じであるとは限りません。膠原病の初期症状はカゼなど他の病気と似ていることが多く、症状が膠原病と関係あるかないかの見極めは難しいことが多く、経過や検査などを組み合わせて総合的に診断することになります。
- 関節の腫れ、こわばり、痛み
- 発熱
- 倦怠感・疲労感
- 体重減少
- 筋力の低下・筋肉痛
- 皮膚に紅斑や紫斑が現れる
- レイノー現象
(寒さに当たると指先が白くなる) - ドライアイ
- 乾燥症状
(ドライアイ、ドライマウス) - 皮膚硬化
- アキレス腱等の腱付着部の痛み
(付着部炎) - 口内炎
検査・診断
膠原病はいくつかの症状の組み合わせや、血液検査・尿検査の結果などを総合して、病気の状態や程度に応じて適切な診断を行い、治療法を決定していきます。
膠原病の治療
治療は病気に合わせてステロイドや免疫抑制薬、また症状に合わせて対症療法を行います。「何となく体がだるい」、「もしかして膠原病かな」など気になる症状がある方、詳しい治療方法に関して相談のある方はお気軽にお尋ねください。なお、クリニックで対応困難な重症例は、専門医療機関と連携し治療を行うこともあります。
当院で取り扱う膠原病・リウマチ性疾患
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス
- 強皮症
- 多発性筋炎・皮膚筋炎
- ベーチェット病
- 成人スチル病
- 強直性脊椎炎
- 乾癬性関節炎
- 掌蹠膿疱症性関節炎/
SAPHO症候群 - 脊椎関節炎
- シェーグレン症候群
- リウマチ性多発筋痛症